ぼかし肥料について

今日はぼかし肥料について、少し書きます。

 

ぼかし肥料は、英語でも、”Bokashi ”とも知られている、

発酵肥料である。

厳密な定義はおそらくないのですが、(私が調べた限り)

ラクトバチルスなどの乳酸発酵を行う菌を利用し、

嫌気条件下で有機資材を発酵させて作る肥料です。

 

私が通っていた農業学校でも、

ぼかし肥料を追肥として使用する方法について学びました。

夏野菜の育成は期間が長いのため、

元肥が切れてしまい、生育が悪くなることがあります。

そのようなときに、ぼかし肥料を根の周りに散布することで

ナスやキュウリの生育が改善するのです。

 

ぼかし肥料はあらかじめ発行させることで、

早く肥料が効くようになります。

生の油粕などだと散布してから効くまでに2週間ぐらいかかるのに対して、

ぼかし肥料にすることで、3日以内に効果が見られるのです。

 

作り方としては、

米ぬか、油粕を2:1で混ぜ合わせ、

そこに種菌と水を加え、

それをビニール袋などに入れ、空気に触れないような状態にして、

1か月ほど冷暗所に置くと完成します。

種菌は、EM菌などの商品として売られているものを使用してもよいのですが、

畑の土壌や堆肥を少し混ぜて使ったり、

糠床を使ったり、

身近にある菌叢を加えて作ることができます。

失敗しないためのポイントとしては、

水分量を50%にすることと

窒素を入れすぎないことの2つなのです。

 

水分量50%というのは、

米ぬか油粕の混合物を混ぜ合わせたものを

握ると固まり、つぶすと崩れるぐらいの水分量です。

水が多すぎると、発酵ではなく腐敗しやすくなるとのことでした。

また、窒素が多すぎるのも腐敗の原因になりやすいので、

油粕よりも、米ぬかを多めに入れるようになっているのです。

 

ぼかし肥料は、窒素やリン供給の肥料としてだけでなく、

土壌改良剤としても最近注目を集めています。

 

ぼかし肥料の特徴として、

土壌微生物に使われやすい分解された有機物を

多く含んでいると言われています。

ぼかし肥料を作る時、

酸性嫌気性条件下で発酵させるため、

ぼかし肥料の生成過程で炭素が二酸化炭素として抜けることが少なく、

同じ量の原材料を使用して作った場合、

堆肥化させるよりも、炭素量が高く保てるのです。

また、乳酸発酵させているため、

大きい有機物は有機酸などの低分子有機物に変換されていて、

それらは、土壌微生物に使われやすい形であるため、

ぼかし肥料を施肥することで

土壌微生物の働きを活発にしてくれると考えられています。

 

また、昨年の6月に参加した学会では、

炭素ベースで同量の肥料を施肥した場合、

堆肥よりも、ぼかし肥料の方が

団粒がより発達するという結果を発表している人がいました。

(詳細については、覚えていなくて、あいまいな情報ですみません。)

団粒が発達するということで、

土壌の物理性の改善のみならず、

保水性、透水性、養分保持力も改善されます。

 

日本発祥のぼかし肥料は、

その作りやすさと使うことのメリットの多さから、

アジアだけでなく、アフリカでも使われるようになっています。

例えば、マラウイでは、JICAと地元の農業機関が連携し、

農家向けに有機肥料の作成方法を教授するプロジェクトにおいて、

ぼかし肥料の作り方が紹介されていました。

 

ぼかし肥料は、

化学肥料の代替品の一つとして、

世界から注目されている肥料なのです!